泡姫物語
すかさず私は名刺にメアドを書き、いつもは変に好意を持たれすぎないようにあえて書かないハートマークを添えて手渡した。

「今日は楽しかったです。またお会いしたいです」

なんて綺麗な言い方をしたが内心は絶対また来て欲しいと強く思っていた。

「僕もまた会えるのを楽しみにしているよ。今日はありがとう」

その言葉が社交辞令でないことを強く願った。

部屋を出て、螺旋階段を降りたところでお別れをする。

「ありがとうございました。またお会い出来る日を楽しみにしています」

深くおじぎをして藤田さんを見送ったあと、しばらく夢心地でふわふわした気分だった。
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