泡姫物語
3章 変化
藤田さんと出会って、他の接客も終えた私はロッカールームで着替えている。

無意識に体が覚えている動作をそのまましているという感じで、気がついたら着替え終わっていた。

この仕事はその日の自分の稼ぎを帰りに精算という形で日払いで貰って帰るのが普通なので帰り支度が出来たらフロントへお給料を貰いに行く。

いつも通りフロントへ行くといつも馴れ馴れしいボーイの佐藤君が

「蘭さん機嫌いいみたいですね。なにかいいことあったんですか?」

とニヤニヤして言うのだが、そんな冷やかしもスルーしてしまう。

「いや…特になにも」

精算をしながらそんな会話をしていると

「友紀お待たせー!待った?」

と愛子が階段を駆け降りて来た。

私と愛子はいつも一緒に行き帰りしているのだが、頭が藤田さんのことでいっぱいで危うく愛子を置いて帰るところだった。

愛子も精算を終え、駅まで向かうタクシーの中、愛子に興奮気味で話し始めた。

「私、今日は愛子に話したいことがたくさんあるの!あのね、えっと……」

今すぐに全てを話したかったが話したいことが多すぎて、どんな言葉から切り出していいかわからずにいると

「じゃあ今日は友紀んち泊まりに行こうかな」

私たちはふたりで一緒に上京してきてすぐ近くに住んでいるため、よくお互いの家に泊まったりしている。

「うん!私もそうしてほしいと思ってたの!」

いつも愛子は私が考えていることを見透かしてしまう。
きっと私がこれから話そうとしていることも多少感づいてるはず。

周りにはポーカーフェイスとか、本心がわからないとか言われるけど愛子にはバレバレだよ、と言われてしまう。
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