泡姫物語
「いい展開じゃん!まさか私のプレゼントしたブタが恋のキューピッドになるなんて私も嬉しいよ」

「愛子のお陰で出会えたんだよ。ありがとう!」

ミルクティーを一口飲んだあと、急に笑顔から真顔になった愛子がゆっくり口を開いた。

「これからどうやって距離を縮めていくかは友紀次第だよ。相手はあくまでも客として割り切っちゃってるんだからさ」

「うん、そうだよね」

その時私は幸せでふわふわした気持ちから一気に不安な気持ちでいっぱいになった。
私は今まで受け身の恋愛しかしてきたことがなくて、告白どころかアピールの仕方もよくわからない。

そういう私の不安も愛子は見逃さず

「大丈夫。そんなに難しく考えないで友紀らしくしていればいいんだよ。無理して作り上げた自分を気に入って貰えても意味ないから」

愛子の言葉は不思議と心にまっすぐ伝わって、じわじわと浸透する。

そういう言葉のひとつひとつが私の悩みを解消してくれる、処方箋みたいだ。

わからない未来のことなんか考えてもしかたない。

そんなことより未来へ向かって、今努力しなきゃ。
< 15 / 200 >

この作品をシェア

pagetop