泡姫物語
「ミルクティーいれてきたよ。はい、どうぞ」

「ありがとう」

もう私たちの間では慣れっこだけど、お互い我が家のように勝手にお茶をいれたり、冷蔵庫から何かを出し入れしたり、自由にくつろいでいる。
愛子のいれるミルクティーは同じものを使っているのに私がいれたものより甘くて、優しい味がする。こういうものにも性格って出るのかな。

まだ熱いくらいのミルクティーを手にとり、一口飲むと熱さが喉から胸のほうへ流れていく感覚がはっきりわかる。喉元が熱くなると同時にすっきり目が覚めた。

「ごめん、やっと目が覚めたよ。シャワー浴びてくるね」

クローゼットの中から着替えを適当に取り、バスルームへ直行した。
休みの日は朝起きてその日の気分で、沢山ストックしてある入浴剤の中から好きなものを選び、半身浴を1時間くらいするのが日課だけど、今日は愛子もいるし食事の準備があるからシャワーだけで済ませておこう。

一気に全身洗って20分程度で髪をタオルドライしながらリビングへ戻ると愛子が用意しておいた写真を眺めていた。

「あれ、早いね。いつも半身浴してるのに」

「今日は料理の準備もあるし、その写真も整理しなきゃと思ってね」

「じゃあ私が写真片付けておくよ。懐かしくてもうちょっと見たいんだ」

そう言って散らばっている写真をかき集めた。

「ありがとう。お願いね」

キッチンへ向かい、冷蔵庫を開けると上段の中央にプリンが入ってるであろう白い箱があった。

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