あの時に戻れたら【短編】
旅行の日の朝、お母さんは泣きながら私の部屋に駆け込んで来た。


「お父さん、何の病気だろう…今ね、お父さんの車に荷物積んでたらね、たくさん薬が出て来たの。近所の内科とかじゃないの…駅前の大学病院よ?お父さん、あんな大きな病院行った事ないじゃない。」


「…まじ?」


「最近、お父さんやけに優しかったしなんかあるのかな…最近痩せて来たしね…」


「お父さんになんか聞いた?」


「なんて聞こう…」


隣の書斎でこの会話を聞いていた私は膝を抱えてないた…過去の世界の私はお母さんの涙をただ見てるだけだったに違いない。

頭の中の記憶がまた新たに作られていく…見えてないのにお母さんの泣き顔が鮮明に浮かんで来た。


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