【詩作家 スカキン】

女王

 
女王は処刑台の上
頭を垂れて
騎士の切っ先の淡い光に魅入りました

血は飛び散り
その冠は民衆の足元へ
首はコロコロとコロコロと
騎士の足元へ


騎士は処刑台の上
肩を落として
女王の瞳の淀んだ光に魅入りました

血は溢れ続け
その血は民衆の足元へ
涙がポロポロとポロポロと
騎士の瞳から


「私を護ってね」
過去に女王は言いました

「命に代えても」
過去に騎士は言いました

「愛してる」
二人ずっと言えませんでした


やがて血は枯れ
民衆は立ち去り
広場は静まり返り

それでも騎士は処刑台の上
肩を落として
女王の瞳の淀んだ光を見詰め続けました

体は震え続け
騎士の涙は
枯れる事なくポロポロとポロポロと

ポロポロと

ポロポロと

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