ムーンライト・リヴァース

閉ざした真実

校門を出ようとすると水木が立っていた。

「またいるし…。」

私は知らずに口に出していた。

「えっ?昨日もいたの?」

「昨日は付きまとってきたの!」

妙に力が入るいいかたになってしまっていた。

「篠原さんっ!」

この近寄ってくるところとかすべてが気にさわった。

「遅かったね。」

「別に待たせてないもんね、美月。」

光がいやみったらしく言う。

私はただ睨みつけた。

「はなっからそんな態度じゃ困るなぁ。今日カラオケ行こうと思ったんだけどね。」

「美月はそんなとこ行かないの!行こ、こんなヤツ置いて。」

光は私の手を引っ張ってスタスタと歩いていった。

「さっき翼が顔真っ赤にして通りすがったよ。イイのかな?時雨ちゃんを敵に回して。」

「………私には関係ないから。」

水木はフッと笑った。

「君さぁ、人によって態度変えるのやめたら?それに気づいてるんでしょ?あいつが君のことよく思ってることも、俺が何をしようとしてるかも。」

「…………。」

「美月はそんな子じゃないからっ!美月っ!もうほっときなよ。」

「…………。」

「美月…?」

光に掴まれた手を振りほどいて私は水木を見た。

「水木君っ!だましたってことだよね?」

光は水木に向かって怒鳴りつけた。

「君は利用させてもらっただけさ。美月の過去を知っているのは俺と翼と時雨だけだ。」

「……美月?どういうこと?」

私は黙っておくことしか出来なかった。
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