消えた願望
清ちゃん
【清ちゃん…ごめんね。もう清ちゃんに会えないの?あと一回だけでも会いたかったなぁ…。清ちゃん有名になる前で良かった。イメージ悪いもんね、彼女が自殺なんて。ん…誰か呼んでるの…?】 「蘭ちゃん、蘭ちゃん!ごめんね、辛かったね。お願いだからまだ駄目だよ。蘭ちゃん…」 「…」 「蘭ちゃん!良かった…」 「…き…よ…ちゃん?」 生きていた。そもそもお腹にはそれほど深く刺さってはいなかったらしい。警察が来ている。私の助けてー!の悲鳴を聞いて親戚とかが台所に駆け付けたら父が呆然と立ち尽くしていたので勘違いしたらしい。 「私が自分で刺しました。自殺をしようとしました」 「(警察)本当の事言っていいんだよ。あなた、助けてって叫んだんでしょう?」 「よく覚えてないです。とにかくすぐ、すぐ死にたかったんです」 「(警察)今も?」 「いえ、もう死んだと思います」 「(警察)?」 「死にたかった私は死にました。今は生きたい私が残っています」 「(警察)そう…。大変なところ失礼しました。お大事に」 もう二度と実家の方には帰らない。生きていきたいから。でも…二人は終わっちゃうんだろうな…会えただけでもいいか、清ちゃん…。 「蘭ちゃんいい?」 「清ちゃん…」 「間に合わなかったな、お守り」 「お守り?」 清ちゃんは私の手をとって指輪をはめた。 「何これ…」 「一人じゃないよー蘭ちゃんは。僕が居るからね、ずっと。これお守り。これから僕が…まも…(泣)」 「清ちゃん…」 「こらぁ清春!お前が泣いてどうすんだ!」 突然誰かが病室に入ってきた。 「母ちゃん!」 「…えぇっ!?」
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