大好きだった
「じゃ…私帰るね…」


美波が「またね」と言って部屋を出て行く。


「大丈夫か?」

私の頭を優しく撫でてくれる啓太


「病院どうだった?」


「う…ん」


「うん?じゃなくて、どうだった?」


「あのね啓太…」


「ん?」


「啓太…私ね…赤ちゃん出来た」


頭を撫でてくれてる手がビタッと止まった。


「マジで?」


「うん」


「マジで?マジかよ~マジで嬉しいんだけど」


初めの「マジで?」て声とは違って本当に嬉しそうに私を抱きしめた啓太


「舞花生むだろ?」


「……」


「おい、生んでくれるよな?」


「……うん」


まだ自分の中に新しい命が宿ってるなんて実感もなくて


まだ心の中には翔ちゃんがいるのに


赤ちゃんを産む=結婚


もう後戻りは…出来ないんだね。
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