秘密~「ひみつ」のこと
「今日ね、和徳の彼女が家に来たのよ!」

帰るなり、容子が嬉しそうに俺に報告した。

「最近、なんか、急に大人びたなぁって思ってたら、やっぱりって感じ」

「まぁ、和徳も高ニなんだし、彼女くらいいたっておかしくないだろう?」

「あたし、凄く嬉しいの。だって、あたし達のことで、あの子、恋愛に消極的になってるんじゃないかって、ちょっと気にかかってたから…」

「で、どんな娘なんだい?」

「それが、また、可愛い娘なの!夕飯に誘っておいたから、あなたも近々、会えるわよ」

「最近の子は、そういうの嫌がるんじゃないか?」

「あたしが、そうしたいの!和徳のために何かしたいのよ!」

容子の語気に生気が宿る…

そう、
一つずつ、
紡いでいく、
俺達は、
紡いでいかなくてはならない…

「そうだな、俺達、和徳のことに無関心でい過ぎたものな。よし、今度の土曜なんてどうだ?俺もその日は久々休みだし、朝から色々手伝えるぞ!」

「和徳に聞いてみる…」

日々交わす、容子との会話。
何気ない日常、
家族の予定…

容子の退院した日から、
なるべく早く帰って、
夕飯を共にする。

休みの日は、
容子の買出しに付き合って、
スーパーへ。

家族に関わることで、
容子の表情に
少しずつ、
変化が現れた。

口数が次第に増えて、
たわいない会話の中に、
容子の笑い声、
容子の笑顔が戻ってきた!


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