秘密~「ひみつ」のこと
「ねっ、カズ、見に来なよ!絶対、感動するから」

あたし、カズを誘った。

「え~っ、でも、恥ずかしいよ、俺」

「唯ママの了解とったし、全然、恥ずかしいことないよ、感動だよ!」

あたし、無理やりカズを家に連れて来た。

唯ママは、
カズになんかお構いなしで、
いつも通りに、
おっぱい出して、
ショウにおっぱいを吸わせてる…
いつもと同じ、
優しい目でショウを見つめてる…

「ほら、ショウ、一生懸命吸ってるんだよ。小さな手でおっぱい押してさぁ」

「あなた達も、昔はこんな赤ちゃんだったのよ…」

「あたしも、こんな風に、唯ママのおっぱい吸ってたんだよね」

カズはしばらく、唯ママとショウの様子をチラチラと見てたけど、突然すくっと立ち上がると部屋を出て行った。

「カズ?」

あたし、慌てて追いかけた。

カズは部屋の外で呆然と立ちすくんでた。

「カズ?ゴメン、無理やり見せて…」

あたし謝った。

やっぱりカズ、
恥ずかしかったんだよね?

「違うんだ…サキ、俺…」

そう言うと、カズがあたしを抱きしめた。

「俺、俺も赤ちゃんの時は、あんな風に母さんに優しく見つめられてたのかなぁって、母さんのおっぱいを一生懸命押して、おっぱい飲んでたのかなぁって、そう考えたら、なんか、涙出ちまってさ…」

「カズ、そうに決まってる!カズのママも、絶対、カズのこと優しい目で見つめてくれてたよ…だって、赤ちゃん、あんなに可愛いんだもの」

「サンキュー、サキ。俺も、感動だよ!」

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