秘密~「ひみつ」のこと
それでも中三までは一生懸命勉強もした。

15歳のあたしなりに、
高校くらいは行かないとって
分かってたから。

高校行ってその先
何がどうなるのかまでは、
全然想像できなかったけどね。

案の定、
高校に入ると
あたし、
今までの緊張が切れたみたいに、
あんなに嫌った母と同じに、
髪を染め厚化粧になった。

勉強する意味も、
将来に対する希望も、
なんか全てが
真っ白の霧に包まれたみたいに、
あたしの視界から
消えてった。

何にも拠り所のない自分が
ちっぽけで、
どうでもいい虫けらのようで、
ここに存在することさえが不安で…

そして夜、
寂しくて、
一人で寝られなくなった。

三日も寝られないと
辛くて、
添い寝をしてくれる男、
捜した。

何で、男かって?
だって、何も考えなくていいし…

抱かれてると、
それだけで安心できるし…

『今日は友達の家に泊まります』

そう書置きして、
一人、
夜の街へ出た。

母にとがめられた記憶はない…

きっと、
母は、
見て見ぬ振りしてたんだ…

あたしが猫なで声で、
「寂しいんだ…」と擦り寄ると、
たいていの男はあたしの腕を取った。

ホテルの部屋。

お決まりの行為。

あたしは
身体を与えて、
一晩の眠りを買った訳で、

だって、
そうしないと、
気狂いそうで…

ハハ、そんなあたしに、
お金を置いていく奴もいたけど…

お金払って、
あたしを買ったつもりになって、
泣いてるあたしなんか、
見て見ぬ振り決め込んで、
それで後はなかったことにしたいだけだよね…

男って、ホント身勝手な生き物。
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