『鏡の中のマリア』
私は、周りのことも
この暑さも一切感じず、
先生の話を夢中で聞いていた。

「君の場合はちょっと特殊で、
ある日君は、
自分が麻莉亜で死んだのは、
妹の麻莉乃だと言ったり、
自分の心臓は麻莉亜の心臓だと
言い出したんだ・・・。

初めは、
解離性同一障害の一種かと思い・・・

多重人格って聞いたことあるかな?
心的外傷から逃れるための
別の人格、君の場合はお姉さんを
生かすことで、
自分を守ろうとしてる
のではないかと考えた。

治療をしようと思っていた。

ただしかし、
ひとつ不思議なことがあって、
そのことで君の心臓は安定した。

その後、入院することも
発作が起きることは
なかったからね。

一種の自己暗示のようなものだと
僕は思ってる。

お母さんと相談した結果、
このまま様子を見ることになった。


多分、君が今混乱するのは、
記憶が戻りかけてる
からなんだと思う。



教えなくて悪かったね。

辛い思いをさせて・・・。」

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