迷子のコイ
Act.3 思いと、想い
「なに、あんたたちまだいたの?」

門のところにいた俊哉たちを見て
ナギがあきれ顔でそう言った。


「なんだよ、いちゃ悪いかよ」


「そんなこと言ってないでしょ!」


ナギと俊哉が
いつものように軽い言い合いをはじめて
それを見たあたしは
なんだかとってもホッとした。


ギャーギャー騒ぎながら
だんだんと早足になるふたりに気づいて
ペースをあげようとした。



そのとき、だった-----------------。



「ずいぶん、おそかったな」


隣りを歩いていた男の子が、
低い声であたしに話しかけてくる。



カレのなまえは

『佐伯 翔《さえき かける》』くん・・・・・。


あたしは彼に

『ちょっと先生に呼ばれてたから』って

ウソをついた。



呼び出されてたのは
先生なんかじゃなかったけど
クラスの女の子に呼び出されてたことを
彼にはなんとなく 
知られたくなかったから・・・。









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