彼のとなり、彼女のとなり
NO.6 前に進む二人…
『これは、運命ね。』

夜―――。

海での話しを電話で若菜に話した。

今日の出来事を“運命” と断言した若菜…

私は“運命”とか“奇跡”ってことを知らない。

だから 若菜の発言に今いちピンと来なかった。

携帯を持ちながら ファッション誌を無意味にめくっていく。

『で、協力するの?健吾さんの。』

「考えてみるって答えたけど、やっぱり断ろうかな…」

ベットの上で 大の字になって寝転んでみた。天井の照明を黙って見つめる…。

「あの時は、シチュエーションがずるかったのよ。海だよ、しかも夕日がすごく綺麗で…。そんな時に携帯のカメラだけど写真撮られて、あんなふうに言われたら…心も揺らぐわよ…」

また…海のことを思い出した…。

『でも、ハッキリとは断らなかった…でしょ?』

「そうだけど…」

…そうだけど…、それ以上何も考えられない…

『迷うくらいの気持ちがあるなら、引き受けてみたら?』

「………」

私は、どこかに引き受けたい気持ちがあったのかもしれない。
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