鬼畜王子の飼育方法
ボディーガード宣言





「ここなら平気だろ」


散々歩き回ってみんなを撒いて、ようやく辿りついたグラウンド裏。

校舎からは死角になっているこの場所には、古びたベンチが二つ並んでいてちょっとした穴場でもあった。


「どした?座んねーの?」


ベンチにストンと腰を下ろし、志季が私を見上げる。

陽射しを浴びたその顔があまりにも綺麗で、一瞬見入ってしまった、なんて死んでも言うものか。


「座りますよ」


そう言って、わずかに距離を空けて志季の隣へと腰を下ろした。


右肩に感じる微かなぬくもりが志季の体温であることを悟ったとき、心臓がトクトクと大きく脈打ち始めた。


好きだと意識したあの日から、私はいつもこうだ。


志季が近くにいるだけで、ありえない程に心臓が大きく脈打って。


全身が、熱くなる──…。


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