それは、春の歌
「アルディート。私は、ずいぶん前に誓ったと思う」
「何を?」
彼女の行為自体大変意外なものであったが、なによりその口調に驚いた。
敬称も、敬語も、取り払ったリートの言葉。
思えばそれを実際に向けられたのは初めてで、彼女が何を言うのか、アルディートには皆目見当もつかなかった。
「私は、貴方を守ると」
「……そう、だね」
「そして貴方も言った。私の心を守ると」
「言ったね」
鮮明に覚えている。
まだ、アルディートが幼かったころの話だ。
幼心に、彼女に恋をした日。