シャンゼリゼで待ち合わせ



祐太が、人を掻き分けて懸命に駆けてくる。



道路を渡って、こっちに近づいてくる。



私は、背伸びをしたりかがんだりして、人ごみの中で見え隠れする祐太を探す。



夜の暗さと通りに並ぶショップの明るさで、人がほとんどシルエットに見えてしまって、どれが祐太か判別しづらかった。



私はここだよ、気がついて!



そして私が、「祐太!」と叫ぼうとした、そのとき。



突然目の前が眩しく光った。



思わず、目を閉じる。



一瞬「テロ?」なんて思ったりもしたけど、すぐに違うってわかった。



この光、もしかして…。



わっと湧き上がる歓声につられて、ゆっくりと目を開けてみる。



そんな私の目の前に広がっていたのは―







光の世界。







私は、あまりの美しさに、思わず呼吸すら忘れるほどだった。








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