妹なんていらない
「ゆ、結城くん……ま、まだ早いよ………

えっ?
好きあってる者同士なら当たり前だって?

そ、そうだね…
うん、そ…それじゃあ………」



どうしよう。


こいつ、妄想を口に出してるぞ。



ううん…少し気持ち悪いが、これはこれで笑える。


よし、放置しておこう。


美波も馬鹿じゃないし、まあ、ちょっとトリップしているだけだろうしな。





その後、ちょっとトリップしている、という俺の予想に反し、かなりトリップしていた美波を正気に戻したのは三十分後のことだった。




      ◇




「あーあ………

いいとこだったのに………」



そこで何故俺を睨む。


お前、あのまま放置してたらもう一時間くらい余裕で妄想してただろ。



「演劇、練習するんだろ?」



「うん…まあ…そうよね………

演劇がうまくいかないことには結城くんとの薔薇色な恋も生まれないのよね…」



お前が妄想していたような美波的理想な展開は一生来ないと思うのだが…
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