妹なんていらない
その後、ぶらぶらと一人で文化祭を回った後、俺はいい時間帯になってきたので体育館へ向かった。



あれだけ美波の練習に付き合わされたんだ。


見逃すようなことだけはしたくない。


てか、見ないと俺の気が済まない。




体育館は暑く、人が結構いたからか、あちらこちらに巨大な氷が置かれていた。


俺は適当に空いている場所を見つけると、そこに座って美波たちの前に行われていたコーラス部の歌を聴いていた。


初めてコーラス部の歌を聴いたが、結構うまい。


この後にやる連中は自然とハードルが上がっちまうわけで、ちょっと美波たちが心配になった。




      ◇




コーラス部の歌が終わり、いよいよ美波たちの出番だ。



閉じられていた暗幕が開かれ、貴族の格好をし、仮面を被った男が三人立っていた。



ロミオ。


つまり、結城だ。


後ろの二人はベンヴォリオとマキューシオだろう。



これは冒頭の部分。


キャピレット家の舞踏会に相反するモンターギュ家であるロミオ達が仮面をつけて舞踏会に出席するシーンだ。
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