i aiment la fille [ss]
本編
 例えばの話。

 貴方はX染色体しか持たない、この世で最も完璧に精神的にも証明できる女だったとします。

 其れから、今目の前に立っているのは女性の身体を持つ可愛らしい女です。彼女と女は凄く親しい友人同士です。

 女はこう言いました。

「琴子さん、好きです。付き合ってください」

 誤解しないで下さい。女ではなく相手側がそう言いました。

 「付き合ってください」つまり、恋人になりませんか、と。

 勿論、貴方は断わりますよね。やんわりと。

 X染色体を持って産まれたその日から、私は男と恋をし、結婚するものだと思っておりました。女性として産まれたからには子孫繁栄のための行為を男とするものだと思っておりました。しかし、彼女は私にお付き合いを申し込んでこられたのです。別に私は同性愛者を差別するつもりはありません。しかしながら、私のお家柄、この様な恋の形を信じられなかったのです。愛していようが愛して無かろうが、女は男と結婚し、契りを結び、家庭を支えて行くものだと、私はその瞬間まで信じて疑わなかったのです。
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