赤の疾風


腰を浮かしてみても、もしかすると来るかもしれないと思い直し、また腰を下ろす。

そんな遣り取りをもう何度も続けているのだ。


体の具合が悪くなったのでは……。


その考えが浮かんだ。


今思えば、この時に待つことを止め、梳菜を迎えに行ったらどれほど良かったことかと思う。


しかし、


「……いや、昨日会ったとき、梳菜の顔色は良かった……。」



萬天は、またも思い留まってしまった……。


< 101 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop