もう一度 笑って

偽彼氏の乱入

「わりぃ!
待ち合わせ時間に遅れたぁ」

間の抜けた声が
あたしの背後でした

聞きたくない声だ

あたしが振り返ると
朝倉がにこにこと間抜けな顔して
笑っていた

「あれ? あれれっ
ちょっとひどいんじゃないの!」

朝倉が
あたしの手にあるチョコを
見て口を開いた

「30分、遅れたからって
他の男にチョコを渡すなんて
ちょぉっと気が短すぎません?
これでも俺、頑張って起きたんだよぉ」

海に渡そうとしていたチョコを
また朝倉に奪われた

「なんだ
大輔にあげるチョコだったんだ
大輔は低血圧だから
朝は弱いんだよね」

海が朝倉のフォローをするように
口を開いた

違うわ
あたしは海に…

「ちょ…勘ちがっ」

「そうなんだよぉ
樹里は短気だからさぁ
待ち合わせに遅れた俺に
嫉妬させようとしたんだぜ」

朝倉が海の肩に腕を置いて
明るい声で
ぺらぺらと嘘を話しだした
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