もう一度 笑って
開店準備をしている店の前で

あたしは
朝倉に投げ出された


バランスを崩したあたしは


水撒きが終わったばかりの地面に
倒れ込んだ

短いスカートなのに

あたしは足を広げて
地面に叩きつけられる


右の手の平に痛みが走った


水たまりになっている地面に
横になったあたしに


朝倉がさらに
バケツにはいった水を
上から浴びせた





早朝からセットした髪が乱れる
化粧もきっと落ちているのだろう


新調したばかりの服が
いっきに重みを増した

「何すんのよ!」


「そんだけ濡れれば
海を追いかける気も失せるだろ?
使用人でも呼んで
さっさとお家に帰りな、バカ女」



朝倉はバケツを放り投げると
大股で去っていった
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