空色
☆相方

○涙

from国光

さわっただけで壊れそうな誠

嘘のような姿から、

帰るころには戻っていた。



―――――マジ、嘘だったんじゃねえの・・・



でも、泣いたせいか顔が赤い。

こいつが傷ついてたのは事実なんだよな。







体育館を出て、カバンを自転車のカゴに入れる。

夜風が吹いて誠の髪を揺らす。

涙目じゃなく

いつものキリッとした黒目が優しく俺を見る。


『あっ、タオル・・・。』
「あぁ・・」

すっかり忘れてた、空色のタオル。
手を伸ばすと引っ込められた。

『いいって♪洗って返す』
「いいんだぜ? 別に。」

ニカッと笑って
手を振って『じゃあね』と言う。



いつもの笑顔。

いつものアイツだ。


「んじゃ、洗濯頼んだ!!」
『おうよ!!』

もう一度、笑って駆け出す誠を見送り
俺も自転車をこぎ出す。




泣きそうなくらいなら言えっての!!

そういえなかった‘もどかしさ’と
アイツの涙にドキッとしてしまった俺の顔を

夜の風がかすめていった。



 












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