water song(みずうた)

□フカフカの衝撃

ゆらゆら、ゆらゆら…。

どうにも夜に起きている事に馴れない。

歩きながらも、ともすると、うっかり寝てしまいそうになる。

盗賊達から逃れて、少しでも距離を稼ごうと、私達は夜の砂漠を歩いていた。

先程まではガルンの肩に乗せて貰っていたが、流石に悪いと思い、下ろして貰って自分の足で歩いているが、遅れがちだ。

「ちょっと疲れたし、仮眠でもとるか。」

そんなガルンの一声に、私は一も二もなく賛同した。

++++++++++

パチパチ…。
はぜる炎に揺れる影。

ぼんやりと炎を眺めるが、寒くて眠れない。
しかし、コレより炎に近づくと、衣服に燃え移ってしまう。困ったものだ。

「毛布も取ってくれば良かったな。俺は毛皮があるから、そこまで思い付かなかった…」

私は強がって首をふる。

「大丈夫」

「そんなこと、青い顔で全身震わせながら言われても、説得力、無いぞ」

無い物ねだり出来ないし、仕方あるまいと思うのだけど。

「一緒に寝ようぜ。それしか無いだろ。」

「で、でも…」

「でももへったくれも無いだろう。俺は、砂漠で知り合ったばかりのヤツを看病するほどお人好しでないし。」
< 136 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop