water song(みずうた)

◇掃除と着替え

扉の開く音に、目を開くと、見慣れない姿のリールがいた。

思わず、リールの上から下まで眺める。リールは、箒と雑巾と謎の小袋(←茶殻が入っているのをガルンは知りません)、宿屋の部屋の合い鍵らしきものを持っていた。

(ああ、宿屋の手伝いするって言ってたな。掃除か?)

だが、スカートだからもしかすると違う事をしているのかも知れない。

聞くと、結局掃除で、スカートは宿屋の女将に渡された服、らしい。

俺はコッソリため息をつき、自分の荷物から比較的綺麗なズボンを出す。着る人に合わせて伸び縮みしない、普通の服だ。

(あ、そろそろ他のは洗濯しなきゃな)

砂漠が広がる土地柄、そうそう洗濯は必要ないが、全く汚れない訳ではない。

ズボンを渡すと、リールはそのまま着替えようとした。

慌てリールに待ったをかける。

男の前で堂々と着替えようとするか?

自分自身の記憶は無くても一般常識はあると思っていた認識は、改めなければ無いかもしれない。

もしくは、俺を男と思ってない…とか。

(落ち込みそうだ…。)


俺は部屋の外に出るから、その間に着替えろとリールに伝えると、わかってるのかいないのか、リールは頷いた。
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