water song(みずうた)

03-02.養殖場と水魚

「見学者の方はこちらへどうぞ〜。見学料金はお一人様五十ダリです。チケットを受け取って、先へお進み下さい〜」

誘導の人の声が元気良く響く。養殖場の見学は、なかなか盛況らしい。

養殖場らしきものとは別の建物にも、人々が出入りしていた。

因みに、五十ダリは、1回分の食事程度または、板チョコレート1枚ほどの値段だ。

チョコレートは近年開発されたらしい菓子の一種で、薬ともして使われていたカルカの実を使って作られている。

高級品だったが、最近大量生産に成功したらしく、庶民にも手の届くものとなった。(ただし、高いブランドのチョコレートも世の中には存在する。)


「いかがですか?お客さん。
養殖場見学とセットで、水族館も見学出来ますよ。
水族館は最近、若者達の間で、デートスポットとしても人気です。ここでデートして誕生したカップルも沢山いますよ。」

誘導役の女性が私達に話し掛けてきた。どうやら、関係を勘違いされているらしいが、説明するのも面倒なので黙っておく。

「その水族館ってのはなんだ?」

「いけないね、ガルンさん。そんなんじゃ、女の子にモテないね。」

たずねたガルンに答えたのは、誘導役の女性では無かった。
< 69 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop