water song(みずうた)
それと、罪悪感が湧き上がる。

記憶が無い私を、心配してくれているガルンへの。

中央広場へ行くと、記憶が断片でも戻りそうな予感がしているのに、それを秘密にしている事への。

「大丈夫。」

短く答え、笑ってみせる。

「仕事、あるかな?」

ガルンは何か言いかけるように口を開き、結局一度閉じてから、苦笑して言う。

「何かしらあるだろ。
それより大丈夫で無くなったらちゃんと言うんだぞ。」

ガルンは、再び肉を切り分ける作業へと戻った。

「うん、ありがとう」

(…ごめんね)

心の中で付け足して、私はコップを手にとる。

それから。

不安と罪悪感とともに、水を飲み干した。
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