water song(みずうた)

03-05.中央広場と噴水

「あ…」

中央広場の噴水を見たとき、ザワリと空気が蠢(ウゴメ)いたのを感じた。

そして、誰かとふと目が合って、そらせなくなった時の気まずさ。

(見られている。)

そんな私に気付かずに、隣にいたセリが、噴水に向かって駆け出す。

「やっと着いたぁ♪」

嬉しそうに、噴水の溜まった水の中を覗き込むセリ。

セリは、そのまま水に手を差し入れ、命石を拾う。

(逃げられない…)

私の足は、自分の意志と無関係に、噴水へと近付いていく。

セリがしたのと同じ様に、噴水の水を覗き込む。

沢山の命石が見える。

それから、あの不思議なオアシスで見た石版。

水の中で揺らめいているし、沢山の命石に遮られていたが、何故かわかった。

(ああ…)

私の手は、自然と水の底へ伸び、石版に触れる。

『歌って』

唇が震える。

「知らない…」

呟く。

いつもの様に(…と言っても、砂漠でガルンと会ってから2回だけの経験だが)、出てこない。

キィーと、高い嫌な音が頭の中で響き出す。
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