恋文~指輪が紡ぐ物語~

 そんな松岡の行動に花乃の複雑な思いは増した。

 たったひとり、屋上に取り残されてしまった。
 
 ふと、見上げた空は、今までの梅雨が嘘みたいな快晴だった。
 青く澄んで、吸い込まれてしまいそうで、花乃はあわてて視線を下げた。


 意を決して封筒から手紙を取り出す。


 もう何年も会っていない人からの手紙。

 だけど、あの頃は誰よりも好きだった人からの手紙。

 それも最初で最後の手紙。

 どんなことが書かれているのか、正直こわい。


 だけど、自分が大切なものを預けていた人なら、という自信が花乃にはあった。

 あの頃の浩介の笑顔を思い出しながら、四つ折りにされている手紙を開く。

 そこには、震える手で必死に書いたのだろう。震える文字が並んでいた。

 そういえば、交通事故に遭ったと松岡は言っていた。その後に書かれたものなのだろうか? 亡くなってしまうような事故に遭って、それでもこれを書いたのだとしたら。

 そう思うと、花乃の胸に熱いものが込み上げてくる。

 それを必死に抑えて、手紙の文字を追う。



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