出会う確率の方程式
「可愛いなあ〜!睦美は!」

成人式に出る為に、着物の着付けを終えたあたしは、鏡の前で全身のチェックをしていた。

我ながら、赤い振り袖が似合っている。

「可愛い過ぎるよ」

あたしの後ろで、涙を流しながら、頷いているのは…スーツ姿の森山である。


高校を卒業してからも、腐れ縁のように付き合いは続いていた。

女の子好きの森山が、いつもそばにいたから、

あたしはあっち方面と思われているのか…変な男が寄って来なかった。


(結果的には、よかったのかな)

複雑な思いを抱えているあたしに気付かず、

「可愛いい」

を連発する森山。


(し、仕方がないか)
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