出会う確率の方程式
今度は逆に、あたしがじっと彼を見つめるもんだから、

彼は少し照れたように視線を外した。

「こ、この前はゴメン!き、君に迷惑をかけた。ちゃんと名前も告げずに、あんなことをするなんて…」

「え?」

迷惑って何だろう…。ただこの前、校門のそばで会っただけなのに。


「僕の名前は…タ……勇気」

名字が聞こえなかった。

「勇気と呼び捨てでいいよ」

彼はそう言うと、笑いかけてきた。

その笑顔が、夕陽と重なって、とても素敵に見えた。

「あ、あたしの名前は…」

なぜか慌てて、あたしは自分の名前を彼に告げようとすると、

彼は軽く手で制して、こう言った。

「睦美さん…時祭睦美さん…」
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