桃色ドクター
「先輩、瀬名先生のことあきらめた方がいいと思います!!」
耳まで真っ赤にした恵理が、いきなり声を荒げた。
「よくわからないんだけど・・・・・・」
動揺を隠しながら、冷静に話そうと努力した。
ここは先輩としてのプライドもある。
私は、紙を机の上に置き、机に肘をつき、恵理を見つめた。
「私・・・口説かれたんです。絶対だめです。あの先生は遊び人です」
目の前がチカチカして、一瞬貧血になったかのように血の気が引いた。
詳しく聞きたいと思う気持ちと、これ以上聞きたくないという気持ちが入り混じり、冷静さを保てなくなった。
涙が溢れそうになった。
私は、勢い良く、恵理の家を飛び出した。