桃色ドクター
エレベーターの扉が開くと、瀬名先生は『開』ボタンを押しながら、私を見た。
「どうしてさっき嬉しそうな顔したんだ?香織」
お別れの話なんだと予感はしていても、ドキドキする気持ちは抑えられなくて・・・・・・
嬉しさを隠すことはできない。
目の前に瀬名先生がいる。
「また名前呼んだ!!100円って言ったのに」
照れ臭くて、可愛げのない声で答え、顔を背ける。
エレベーターに先に乗ったのは私。
狭いエレベーターの奥に立つ。
「100円? 今、小銭持ってないんだ。これで勘弁してくれる?」
瀬名先生はエレベーターに乗り込むと同時に私を壁に押し付けた。