桃色ドクター
「もしも、君がまだ俺のことを好きだとしたら、もう少し待って欲しいと伝えたかった」
待たなくていいと言われることが怖かった。
先生が待って欲しいと言ってくれて、私の恐怖心は消えた。
店内にかかる穏やかなオルゴールの音楽が心を落ち着かせてくれる。
遠くの喫煙席からほのかに香るタバコの匂い。
「俺、きっちり整理できるまでは香織を抱かない。もう少し・・・・・・時間がかかりそうだ。でも、待っていて欲しい」
覚悟していた内容ではなかった。
「そんなに大変なんだったら、無理しなくていいって」
またかわいくないことを言う私に、瀬名先生は言い返す。
「素直になれよ。意地っ張りな香織も好きだけど」
「ふん」