桃色ドクター



「もしも、君がまだ俺のことを好きだとしたら、もう少し待って欲しいと伝えたかった」



待たなくていいと言われることが怖かった。


先生が待って欲しいと言ってくれて、私の恐怖心は消えた。



店内にかかる穏やかなオルゴールの音楽が心を落ち着かせてくれる。


遠くの喫煙席からほのかに香るタバコの匂い。



「俺、きっちり整理できるまでは香織を抱かない。もう少し・・・・・・時間がかかりそうだ。でも、待っていて欲しい」




覚悟していた内容ではなかった。




「そんなに大変なんだったら、無理しなくていいって」



またかわいくないことを言う私に、瀬名先生は言い返す。



「素直になれよ。意地っ張りな香織も好きだけど」



「ふん」







< 151 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop