桃色ドクター
「平野さん、おはようございます!!おりこうさんですね!」
瀬名先生は、右手にボールペンを持ち、カルテに何やら書き込みながら、チラっと私を見る。
「へ?何がですか?」
とぼけた表情の私に、もう一度にっこりと微笑んでくれた。
「今日もちゃんと来てえらいですね!でも、無理はだめですよ。迎えに行かせると言ったのに」
わざとらしく作った眉間にしわをよせた「怒った顔」がまた彼のポイントをUPさせた。
その時、見えてしまった。
瀬名先生の微笑みに見とれすぎていたせいで、今まで気付いていなかった。
最近は、男性に出逢うと一番にチェックするはずの…左手の薬指。
キラリと光る結婚指輪。
女をだますイケメン外科医なら、指輪なんてしてちゃだめだよ。
結婚していても、それは隠しておかなきゃ…