粛清者-新撰組暗殺録-
第四幕
元治元年四月二十二日、京都松原木屋町で火事があった。

火事現場に出動した新撰組は、通行を邪魔していた挙動不審の男二人を捕らえ、総司達一番隊が屯所に連行した。

彼らは長州藩邸の門番と名乗ったが、隊士が拷問を加えて尋問すると、肥後藩の宮部という男の従僕である事を白状した。

その上、彼らの口から京都を追われた長州人が二百五十人ほども秘密裏に京都付近に潜伏している事もわかった。

近藤局長が巨漢の新撰組伍長・島田魁らの探索方を動員して調べたところ、京都市中に四十人、伏見に百人、大坂に五百人の長州人が待機している事が判明した。

また市中の聞き込みにより、四条西木屋町の古物商、枡屋喜右衛門という商人が、商売らしい事もしないで手下二人を雇い、町内付き合いも避けている事がわかった。

これを怪しいと睨んだ近藤は、六月五日・祇園祭の早朝、隊士をやって主の喜右衛門を捕らえさせ、屯所に連行して厳しい拷問をかけた。

枡屋の内部を調べてみると、多量の武器や火薬の他に、倒幕派の志士の手紙も見つかった。

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