粛清者-新撰組暗殺録-
第五幕
京都の新撰組という集団は、卓越した剣腕と死をも恐れぬ闘志で『壬生狼』と言われて畏怖されている。

池田屋事件以降、そんな噂が日本全国に流れた。

新撰組の地位はあの日を境に確固たるものとなり、普段幅を利かせて街を闊歩している維新志士もそうでない似非志士も、通りで段だら模様の羽織を纏った剣客集団と鉢合わせた時には道脇に逸れて縮こまり、連中が通り過ぎるのを肩身の狭い思いをして待った。

『京都大火計画』を画策していたのが長州藩だったという事で、長州派の志士達の京都での風当たりは一層強くなり、長州藩藩都の萩ではその状況を打破すべく、佐幕派に打って出ようという声が強まっていた。

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