天上のワルツが聴こえる
あの日、赤い繭から生まれたフィアンは、すくすくと育って、花嫁になった。

お相手は、空を飛ぶことが出来る翅族のジル・リーである。

彼は、優しくて、とても賢い青年だ。

アンドロイドはすっかり父親の気分だったが、外見は、アンドロイドの方がずっと若い。

フィアンと、ジル・リーと、一昨年生まれたチュティアが、今の彼の家族だった。

「チュティア!」

アンドロイドが、呼んだ。

つい最近、チュティアは飛ぶことを覚えたので、あちこちに飛んでいきたがるのだ。

たいてい、木の上に飛び上がったまま、降りられなくなっていたりする。
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