天上のワルツが聴こえる
「では…。外へ、出ましょう」

「外?」

少女は、その言葉の意味を考えた。

彼女にとって、世界とはこの街のことだった。

この街に住むヒトビトの夢を導いて、今日まで生きてきたのだ。

だから、外という概念は持っていなかった。

「外って、なに?」

「ここは、地球という惑星に造られた、閉じられた世界です」

「ちきゅう?」

「ええ。大きなドームに覆われた、コロニーなんです」

少女は首をひねった。

いきなりそんなことを言われても、理解できるものではない。
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