似非家族
驚いて和四くんが指差す方を見ると、確かに誰か倒れている。

しかも、頭から血を流して……。


「大変!!」


急いで駆け寄る

と……




「あれ……?」




「コイツ髪赤っ!!」


近付いてみると、倒れていたのは血と見紛うほどの赤髪の男の人でした。

ホッとしたのも束の間。

頭から血を流していなかったものの、喧嘩でもしたのか体中ボロボロ。

同い年ぐらいに見えるのですが、髪も染めているし……なんだか、その……。

人を見掛けで判断するのは良くないとは解っているのですが、なんだかこの人……




「ちょっとヤバいんじゃね……?」




「和四くんもそう思いますか……?」


ですが、このままにしておくわけには……。


「傷だらけだけど、息はしてる。気を失ってるだけみたい。」

「ど、どうしましょう……?」

「とりあえず、部屋まで運んで手当てしましょう。」

「そ、そうですね。そうしましょう。」

「え、マジで……?」


ちょっと不安でしたが、3人で必死に部屋まで運び入れました。

出来るだけの手当てをして、とりあえず一安心。




だったのですが……。




まさかちょっとした不安が現実になるなんて、この時の私は想像も……していなかった訳ではないのですが。

あぁ、少し前の穏やかな感じに戻りたいです……。
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