烏乃唄-カラスノウタ-
夏。


お盆で佐々木和江(ささきかずえ)の息子夫婦が久し振りに実家に帰ってきた。



「あらーいらっしゃい!」


「母さんただいま。」


「お母さん、お久しぶりです。」


「暑くて大変だったでしょ?早く上がりなさい!」



和江は息子、陽二(ようじ)と嫁、朋美(ともみ)を迎え入れた。



「おばあちゃん!」


「まぁ、愛ちゃんこんなに大きくなって!さっ、早く上がりなさい!」


孫である愛(あい)がひょこりと朋美の後ろから顔を出すと和江は上機嫌になった。


それもそのはず、息子夫婦がこの家に来たのは実に三年ぶり。


以前来た時は愛もまだ二歳だったので大きくなった孫に会えて本当に嬉しかったのだ。
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