最後に初めまして。
次の日の朝早くから俺の検査が一日かけて行われた。

正直、規則正しい生活をして来てない俺に確信なんて何一つなかった。

ただ古都の血が流れている事にすがる気持ちでいっぱいだった。

検査が終わると俺は古都の部屋でおしゃべりをしながら待っていた。

不安が古都にバレないように直隠しにしながら、ただじっと待っていた。


『ねぇ、登はみんなに愛されてるんだね。』

「みんな?ああ…ヒロと古都にだろ?」

『違う…違わないけど、そうじゃなくて。薫さんとか真夕美さんとか後は…知らない。』


ちょっと頬を膨らませた古都がいた。


「そうだな。愛されていたのかもな。でも…俺はたった一人に愛されなければ意味はないんだ。古都だってそうだろ?」

『うん。登に愛されなければ生きていられない。でも…私生きていられるのかな?』

「大丈夫だよ。その為に俺達は出逢ったんだから…きっと成功する。」


古都を励ましている時に担当医がやって来た。

俺も古都も、息を飲んである言葉だけを待っていた。


『率直に言います。高瀬さんとの移植は…可能です。後は貴方方の意思の問題だけです。』

『登…私…ううっ…。』


泣き出した古都を抱き締めて俺は喜んだ。

後は手術の日のわずかな可能性を信じるだけだった。

もう何も恐れる物はなかった。
俺はほんの小さな可能性からここまでこぎ着けたのだから。
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