最後に初めまして。
必死に頭の中で整理をしている事に気付いたのかヒロが続けて話だした。


『それで倉木さんはコイツに何しに来たの？』


俯いてた彼女が顔を上げて、また真直ぐに俺を見つ直した。


『私、高瀬さんの事が知りたくて…。』

「俺の事を知りたい？」

『――…はい。』


ヒロは徐にに立ち上がり俺に耳打ちをして来た。


『場所変えた方がいいぞ。彼女の顔見ろ。普通なら俺より先に気付くだろ？少し冷静になれよ。』


肩を軽く叩きながら、ヒロはカウンターへと歩き出した。

ヒロに言われ、彼女の顔を見直すと少し青ざめていた。

遊び人失格だな。


「倉木さん、少し外に出ない？」

『…――はい。』


彼女はホッとした表情で返事をした。

店を出た俺は煙草に火を点け、冷静さを取り戻すかのように、ゆっくり歩き始めた。


「確か、近く公園があったはずだから、そこでいいかな？」

『はい。いいです。』

「倉木さん、顔色悪そうだけど大丈夫？」

『大丈夫です。…ありがとう。』


そう言って彼女は俺の二歩ぐらい後を、無言で付いて来た。

上を見上げると夜空に星が綺麗に輝き、心地良い風が流れていた。

その星空の下を、初恋と同じ名前だと言う見ず知らずの女性と歩いている光景自体、俺自信不思議で妙な感覚になっていた。
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