最後に初めまして。

契 約

女の関係まで話し、これで諦めるだろうと思っていた。

気になる男が、本気で恋愛を出来ないなんて致命傷だからな。


「――…そんな感じ。これで良くわか…――。」

『私…知ってます。』


いきなり立ち上がった彼女はそう言うと、ゆっくり遊具の方に歩き出した。


『高瀬さんは優しくて想いやりのある人だって知ってます。』


歩いてた足を止め、振返りながら俺を見つめて来た。


「俺の何を見てそう言い切れるんだい?」

『私、前から高瀬さんの事見て来ました。お話だってした事あります。』


またもや衝撃的な発言だった。

前から知ってる?

俺と話をした事がある?

こんな印象的な彼女と話をして忘れるはずはない。

いつ…――?


「それはいつ?どこで?」

『それは…内緒です。』


彼女が初めて微笑んだ。
月明りが彼女をそう見せたのか…。

さっきまでの青ざめた顔色はなく、彼女の笑みはとても神秘的で安らぎさえ覚えるような、しかし何処か寂しげでもあった。


『高瀬さんはお休みいつまでなんですか?』


続けて彼女が聞いて来た。

「休み?明日から8日間だけど。」

「それがどうかした?」

『そうですか…。』


突拍子もない質問に、何故か俺は素直に答えていた。
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