最後に初めまして。
8日間の恋愛ごっこを俺としたいって事?

彼女と一緒に過ごして思い出をあげる。

簡単な話じゃないか。

退屈しのぎには面白い話かも知れない。

それにこんな可愛くて魅力的な彼女と、過ごせるなんて悪い話でもないさ。

俺は頭の中で整理して横にいる彼女に答えた。


「ようするに…休みの間君と恋愛ごっこをするって言う事なのか?」

『はい。高瀬さんとの思い出が欲しいんです。』


俺は少し意地悪な質問をしてみた。


「俺に、何かメリットはあるのかな?」


『高瀬さんには…―。』


彼女はまた真直ぐに俺の目を見つめ直した。


『高瀬さんには素敵な思い出が出来ます。たぶんですが…。』


そう言いながら、照れた笑顔を見せる彼女は可愛くて、真直ぐ見つめるブラウン色の瞳に吸い込まれそうになった俺は思わず返事をしてしまった。


「分かった。その話…、受けるわ。」

『えっ?本当ですか?良かったぁ。』


そう言うと彼女は足を前に伸して、ベンチの背もたれに背中を預けた。

とても不思議な彼女だった。

怯えた子猫のようにか弱いかと思えば、真直ぐ見つめる強さを持っている。

確かにヒロが言うように俺達の周りにはいない、ヤバいタイプなのかも知れないな。

煙草を吸いながら彼女を見つめる俺に夜風が気持ち良く流れていた。
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