最後に初めまして。
周りをぐるりと見回して一つ大きく深呼吸をしてから古都は俺を見つめて来た。


『この部屋…何か冷たい感じがします…ね。』


胸に何かを突き付けられたような感覚が走った。

今まで何人もの来客はあったが、そんな事を言われたのは初めてだった。

まるで土足で部屋に入られたような気分でもあった。

普通思ってても口に出さないだろう?


「悪かったな。冷たい感じの部屋でっ!」

『ごめなさい。そう言う意味じゃなくて、登…の寂しい感じはこの部屋に繋がってるのかなって思って。ごめんなさい。』

「寂しい?俺がかぁ?」

『何となくですから…気にしないで下さい。』


寂しそう…確かにそう言われた事は今まで何回もあるが…。


「それで古都。こんな朝早くに何んだ?」

『あっ、忘れてました。あのですね、遊園地…行きたいなって。だめ?』
「はぁ?」

『私、お弁当頑張って作りました。』

「お前はなぁ―、電話するとか、前もって言うとかあるだろう?」

『ごめんなさい。驚かそうと思って、あはっ。』

「笑って誤魔化すな。」

『でも…昨日の夜、帰ってから敬語で話さない練習してて、その時に思いついたら楽しそうかなって…。』

「敬語で話さない練習?するかぁ普通…。」

『やっぱり普通はしないですよね…えへっ。』


いつもコイツは突拍子もない事ばかりする。
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