ふたつの恋の物語

春哉

君が言う言葉が
僕にはすべて真実に聞こえるんだ

真実だと信じながら、、、

――――――――――――――

『あたし達、上にいるから。』

そう言って春樹と東子は2階へ上がっていった。

「話って何?」

俺は怒っているように聞こえないよう、注意して喋った。
別に怒ってるわけじゃないんだけど。


『あたし、春哉くんに謝りたくて、、、
本当にごめんなさい。
あたしのせいで不愉快にさせちゃって、、、
あの人とはもう別れるつもりなの。
浮気してるの知ってたから連絡もとってなかったし、、、

言い訳に聞こえるかもしれないけど、、、』


別に不愉快になったわけじゃない。
ただ悲しくなったんだ。

でも、、、

「千里ちゃんの気持ち聞けて安心した。」

俺は微笑んだ。

『春哉くん、、、』

「聞いてほしいことがあるんだ。
俺、千里ちゃんのこと、、、」

そう言おうとしたとき、千里ちゃんの人差し指が俺の唇に当たった。

『今は言わないで?
あたしがちゃんとしてから。
ね?』

涙ぐんで笑う彼女を抱き締めたくなった。
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