幼なじみ〜first love〜
顔を上げ、広く青い空を見上げた。


空が滲んで見える。




――…バンッ!


屋上の扉が勢いよく開き、そこにはケンちゃんが立っていた。




「絢音っち…!」




うずくまるあたしの身体を、ケンちゃんは支えてくれた。




「ケンちゃん…追いかけて来たの…?」




「ほっとけないだろ…?あんな泣きそうな顔して…」




「…ケンちゃん、あたしね…いつかこんな日が来るんじゃないかって、ずっと怖かったんだ…」




蒼に彼女ができる日が

いつか来る…




でもその彼女があたしならって


そんな夢をいつも見てた……




「俺、気づいてたよ。絢音っちが蒼のこと好きだってこと…」




ケンちゃんには、あたしの気持ちがバレていたんだ。




「幼なじみだからって…蒼を縛れない…だから、美々ちゃんのこととか、全て解決したら伝えようって思ったのに…」




昨日ずっと…手を握ってくれていたのに。




やっぱり蒼は…


あたしのことなんて、何とも思ってなかった




「絢音っち…元気出せよ。あれ、何かの間違いに決まってる。だって蒼の好きな人は…」
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